
こだか和麻 『BORDER 境界線』第5巻
レーベル:Hugコミックス(初版)→コンパスコミックス(新版)
初版:2013年5月21日/廣済堂出版
目次:
※各巻のレビューは作品紹介の【シリーズ】欄にリンク済み(随時更新中)作品紹介
プロの仕置き人集団、チームJ・A・Tのリーダー大和と、彼の右腕にして親友の宋悟。そんな二人の出会いは高校時代にまで遡る。 空手部主将・兵藤との肉体関係を 宋悟に目撃された大和は、彼に嫌われたと思い込む。 ところが、そのことを知っても自分に向き合ってくれた宋悟に、大和は全てを打ち明ける。 過去を、秘密を共有し、固い絆で結ばれた二人だったが、その直後に掛かってきた一本の電話が彼らの運命を狂わせるのだった……。 BLの名作「BORDER」が装いも新たにデジタル版配信スタート!雑誌掲載時のカラーを収録!
【シリーズ】
・第1巻
・第2巻
・第3巻
・第4巻
・第5巻
・第6巻
・第7巻
【続編】
・『慧-Kei-』1巻
・『慧-Kei-』2巻
・『慧-Kei-』3巻
【収録内容】
本編 第22話~24話
特別編 失恋記念日?
特別編 ダメな大人とヒマつぶし
特別編 鼓動 (同人誌収録)
【テーマ・舞台設定】
- 探偵事務所
- 仕置き人
- 高校生(過去編)
- 特殊部隊(過去編)
【作風・世界観】
- シリアス
- せつない
【地雷要素(人によって)】
- 宋悟の恋人・唯の身に起きた悲劇
【キャラ】
高校生編の主な登場人物:
- 大和:高校生(のち探偵事務所所長・J・A・Tリーダー)
ツンデレ強気受 宋悟と両片想い - 宋悟:大和の友人(のちJ・A・Tメンバー)
硬派攻 - 唯:宋悟の幼馴染みで恋人 足が不自由
- 兵頭:空手部の先輩
彼女がいながら大和と関係を持つ - 陣:空手部の先輩
友人の兵頭に片想い
特別編:
- 大和:特殊部隊員
- ウィル:特殊部隊員
【ラブシーン】
- ウィル×大和(過去編)
【描き下ろし】
- 初出情報がないため不明
ネタバレ感想
2013/10/09に旧館に投稿したレビューを再掲:大和と宋悟の高校時代の続き。 掲載誌を購読しておらず、単行本に初出情報が記載されていないため、特別編が描きおろしなのか、そうでないのか把握できていません。最後の「鼓動」は同人誌収録の番外編。
このシリーズ、内容は面白いのに構成のアンバランスさが足を引っ張っている印象。 回想シーンが多く、あっちに行ったりこっちに行ったりと飛び飛びで過去編を挿入するくらいなら、最初から時系列で描いてくれた方が分かりやすいんだけどなぁ。
今回の高校生編をウィル編の前に持ってきて欲しかったです。先に高校生編を読んでいたなら、あのとき大和がなぜあんな投げやりな態度だったのかとか、彼の孤独感がもっとよく理解できたと思うのに。
今回とても残念だったのが宋悟の幼なじみで恋人でもあった唯の死。こだかさんの作品は重要な登場人物の死亡率がわりと高めですが、このBORDERシリーズでもここまで2名死亡。
大和の元恋人(ウィル)の殉死は、その前後の流れが自然だったので大和の悲しみとウィルの存在の大きさが伝わってきて心揺さぶれましたが、今回の唯の殺され方はあまりに理不尽。 そういう結末にする必要があったのかなぁと、やるせない気持ちになりました。
まだ高校生とはいえ、宋悟はもっとまともな対応ができるキャラだと思っていたんだけどなぁ。足が不自由な彼女と一緒に帰る約束をしていたのに、置き手紙や伝言も頼まずに大和と早退してしまったことで悲劇が・・・。
唯から部活帰りに一緒に買い物に行く約束忘れないでねと念を押されていたにもかかわらず、大和が珠妃がらみで早退したと聞くや、まるっきり彼女の存在を忘れて追いかけてしまう軽率さ。 せめてごめんねの伝言くらいできなかったのか。
部活が終わり、宋悟を探していた唯は、先輩から早退した理由を聞き、怒るどころか、友達思いの宋悟らしい行動だなぁと微笑むいじらしさ。 その後、車椅子に乗り、一人で帰宅していた唯がヤンキーに絡まれて、ひき逃げされるくだりはあまりに悲惨で目を覆いたくなりました。
唯は頭から血を流し、意識が朦朧とする中、幼い頃からずっとそばにいてくれた宋悟が照れながら好きだと告白してくれ、恋人になって過ごした楽しい日々を思い出しながら、まるで目の前に宋悟がいるかのように宙に手を伸ばし、私も好きとつぶやき、その後まもなく還らぬ人に・・・。
唯には一命をとりとめてほしかったです。唯の死は宋悟と大和の人生に暗い影を落とすことになりますが、苦しみを分かち合い、 支えあった二人の絆はより一層深まったとでも言いたいのでしょうか。あれだけ理不尽な唯の死を見せられると、なんだか納得しがたい気持ちに。
ウィルは大切な人を守り、見守れながら死んだ美しい死に方。唯は大切な人に忘れられ、路上に打ち捨てられた悲惨な死に方。唯というキャラが宋悟と大和の未来のために、まるで過去の悲劇を演出してより感動をもたらすための捨て駒として利用されたようで、 後味の悪さを感じずにはいられませんでした。
今回は本編を楽しめませんでしたが、脇役の兵藤先輩たちと最後に収録されていたウィルと大和の番外編は面白かったです。
兵藤×陣の脇役コンビのゴールイン。毒舌な陣が兵藤の息子には優しく接していて、マセガキな息子が懐いているところも微笑ましかったです。


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