BL漫画holic（別館・サブブログ）: 『残像スローモーション』ネタバレ感想【じゃのめ】

2025年3月10日月曜日

『残像スローモーション』ネタバレ感想【じゃのめ】

残像スローモーション
2020年7月10日/講談社

男子校の寮生3年、映画部部長・菊地原　仁。眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群、自信家で派手好き。いつも人に囲まれている人気者だが、ひとつ歳下の部活の後輩・市川義一は異様にライバル心むき出しでつっかかってくる。そして菊地原の方もまた、市川を意識していた。ある日、そんな2人が寮の同室になってしまい…！？大人気『黄昏アウトフォーカス』スピンオフ。

単行本の構成

・表題作全6話
・描きおろし後日談12P

黄昏アウトフォーカスのスピンオフ。前作未読でも問題なく楽しめます。（前作の二人はカップルとしての登場機会はなく、真央ちゃんがちらっと部活中に出てくるだけ）

前作に登場した映画部の変わり者・義一【2年の監督】とスピンオフが初登場のキラキラしたイケメン部長・仁【3年の監督】が短期間だけ寮で同室になり、部活では犬猿の仲だった2人が急接近するという展開。

一緒に過ごす時間が増えることでお互いの知らない一面が見えてぐっと距離が縮まっていくという王道ルートに加え、二人の場合は過去の出来事も少なからず影響しあっているという設定。

子供の頃にコンテストで義一と言葉を交わし、ひたむきに夢を追う義一のアグレッシブさに感銘を受けた仁。

そして、義一の方も実は仁の才能を認めているけれど、作品の質よりも部員の希望を優先するお人よし加減にイライラしていたという愛情の裏返しのような複雑な気持ちが根底にあり、恋の進展ともに二人の過去と人となりが掘り下げられていく構成が物語に深みを与えています。

監督としての考え方の違いなどでぶつかり合いながらも、次第に心を通わせていく過程がドラマチックに描き出される青春BL。

超がつく映画バカでこれが初恋の義一だけど、意外や意外とてもいじらしい一面を持つ誘い受。二人のときだけセクシーになる隠れクールビューティ設定が美味しかったです。

スパダリワンコの仁はイケメンなのにどこか抜けてる可愛いキャラなんだけど、ナルシストを演じている理由にほろり。気配り屋で優しすぎることが仁の長所でもあり短所でもあることをちゃんと分かってあげられる義一が素敵だなぁ😊