
2020年2月14日/秋田書店
組員の小田島はヘマをしたヤクザの若頭・片岡と騒動のほとぼりが冷めるまで、行方をくらますことに。だが、この旅には片岡を殺すという使命が隠されていて……!?
単行本の構成
・表題作全5話
・描き下ろし番外編2P
・カバー下おまけ漫画2P
・電子限定おまけ漫画1P
・描き下ろし番外編2P
・カバー下おまけ漫画2P
・電子限定おまけ漫画1P
跡目争いや暗殺指令などヤクザ特有のバイオレンスで重苦しい設定だけど、物語の大部分はそれと対照をなす長閑な海沿いの町をドライブする二人の様子を中心に展開される構成で、タイトルやあらすじからイメージしていたものとはだいぶ違った印象を受けました。
まるでロードムービーを観ているみたいというレビューがたくさんあがっていましたが、読んでみて納得。確かにそのまま映画にできそうな内容でした。
まるでロードムービーを観ているみたいというレビューがたくさんあがっていましたが、読んでみて納得。確かにそのまま映画にできそうな内容でした。
若頭である攻を暗殺するように組長の息子から指示されている受と、そのことを察知しながらも飄々と現実を受け入れて自分を殺そうとしている受と一緒に旅に出る肝が据わった攻。
生粋のヤクザ者だけどヤクザらしからぬお茶目でお人好しな部分も持ち合わせている攻が絶妙に味のあるキャラとして描かれていて読者を魅了するオーラがあります。
そんな攻に対して上からの暗殺命令とは別に私怨を抱いている受。
生粋のヤクザ者だけどヤクザらしからぬお茶目でお人好しな部分も持ち合わせている攻が絶妙に味のあるキャラとして描かれていて読者を魅了するオーラがあります。
そんな攻に対して上からの暗殺命令とは別に私怨を抱いている受。
展開としてはごくごく王道なのですが、一緒に旅する中で二人の間に情が芽生えていく過程を受の葛藤や跡目争いなどを絡めながらドラマチックに描いているところが人気の所以なんだろうなと感じました。
寡黙で感情を表に出さない受が攻に惹かれて健気受に変わっていくところも、そこに行きつくまでの葛藤もスリリングに描かれていて面白かったのですが、復讐の動機が少し弱いかなと感じました。
複雑な生い立ちのせいで裏社会に足を踏み入れざるを得なかった受がヤクザになって初めて出来たかけがえのない相棒の死。
その親友の死に攻が絡んでいて、受はそのことで攻に激しい憎悪と殺意を抱くようになったというので、どんなむごい死に方をしたんだろうと思っていたら、拍子抜けするほど普通の死因。
ヤクザの世界ではごくありふれたものというか。若頭の攻に憧れていた親友(下っ端構成員)が抗争で攻を庇って撃たれて亡くなったというもの。
そのことで攻に殺意を抱くというのは配下の構成員としてどうなんだろう。ましてや亡くなった親友が一番あこがれていた存在で他の組員からの人望も厚い若頭。親友が命を懸けて守った人物なのに。裏社会に身を置く者の復讐劇としては少し違和感がありました。
上記の理由で動機部分が少し弱いかなと感じましたが、それを差し引いてもカップリングの魅力と構成力で最後までぐいぐい読ませる作品。
豪放磊落な攻がダークな世界で雁字搦めになっている受を陰から陽へと引っ張っていく任侠人情モノ。
複雑な生い立ちのせいで裏社会に足を踏み入れざるを得なかった受がヤクザになって初めて出来たかけがえのない相棒の死。
その親友の死に攻が絡んでいて、受はそのことで攻に激しい憎悪と殺意を抱くようになったというので、どんなむごい死に方をしたんだろうと思っていたら、拍子抜けするほど普通の死因。
ヤクザの世界ではごくありふれたものというか。若頭の攻に憧れていた親友(下っ端構成員)が抗争で攻を庇って撃たれて亡くなったというもの。
そのことで攻に殺意を抱くというのは配下の構成員としてどうなんだろう。ましてや亡くなった親友が一番あこがれていた存在で他の組員からの人望も厚い若頭。親友が命を懸けて守った人物なのに。裏社会に身を置く者の復讐劇としては少し違和感がありました。
上記の理由で動機部分が少し弱いかなと感じましたが、それを差し引いてもカップリングの魅力と構成力で最後までぐいぐい読ませる作品。
豪放磊落な攻がダークな世界で雁字搦めになっている受を陰から陽へと引っ張っていく任侠人情モノ。
・描き下ろし番外編「第0話 旅の始まり」2P
疲れて助手席で眠る小田島と、いつも無表情でニコリともしない小田島に興味を持ちはじめる片岡。
疲れて助手席で眠る小田島と、いつも無表情でニコリともしない小田島に興味を持ちはじめる片岡。
・カバー下おまけ漫画「アニキが結婚しました」「手下が結婚しました」2P
四コマ2P。本編に絡んだプチエピソード。笑いを誘う感じ。
・電子限定おまけ漫画1P
本編の数年後と思しき後日談。海辺でまったり。
本編の数年後と思しき後日談。海辺でまったり。
新装版:2025年2月25日/徳間書店

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