嘘には向かない職業
2022年12月28日/新書館
アイドルグループ『D.BUG』のメンバー・奏真は、グループリーダーの頼に密かに想いを寄せていたが失恋。そのことを酔った勢いで先輩アイドルの千堂に泣きながら話してしまう。最初は心配し気遣う態度の千堂だったが、奏真がすべてを忘れてほしいと頭を下げた途端に態度を一変。なぜか怒った様子で「俺にキスをしたら」と交換条件を出してきて……！？ 大人気作「恋には向かない職業」シリーズ・スピンオフ！
単行本の構成
上巻：
・第1話～10話
・あとがき
下巻
・第11話～18話
・ディアプラス25周年フェア＜アニメイト4Pリーフレット＞掲載【前作CP番外編】「DK同級生の世界線で果たして俺らはBMBできるのだろうか。出会い篇」
・描き下ろし番外編「恋人の歌」
・第1話～10話
・あとがき
下巻
・第11話～18話
・ディアプラス25周年フェア＜アニメイト4Pリーフレット＞掲載【前作CP番外編】「DK同級生の世界線で果たして俺らはBMBできるのだろうか。出会い篇」
・描き下ろし番外編「恋人の歌」
『秘密には向かない職業』のスピンオフ。
前作受の頼が在籍するアイドルグループ・D.BUGのメインボーカル・奏真が主人公。
グループリーダーの頼に密かに想いを寄せ、人知れず失恋した奏真。そのことを酔った勢いで事務所のあまり親しくない先輩・千堂（事務所で一番人気の3人組アイドルユニット1st SQUADメンバー）に泣きながら打ち明けた夜、千堂にお持ち帰り（介抱）され、半裸の千堂の腕の中で目を覚まして・・・という劇的なはじまり。
失恋して醜態をさらしたことを恥じた奏真は、自分のアイドルとしてのイメージのためにあの夜のことは全て忘れてほしいと千堂に頼んだところ、交換条件としてキスを要求され・・・。
今回の攻は口数が少ない不思議系。傲慢攻ではないものの、強引で我が道を行くタイプ。良く言えば一匹狼風のクールイケメン、悪く言えば独りよがりな青二才ｗ
受の奏真は良い子。ほんわか可愛い純朴受。
メロドラマチックで懐かしさを感じさせるレトロな作風は金井桂さんの持ち味ですが、前半は二人が急接近するきっかけとなるエピソードが説明不足且つ極端だったので置いて行かれそうになりました😅
飲み会で奏真がうっかりミスから泥酔し、苦手な先輩・千堂に介抱される。
↓
千堂が奏真に執着するようになったきっかけを描いた過去編。
（グレていたアイドル初期時代に一人で居残り練習する頑張り屋の奏真を見て感銘を受け、可愛い笑顔にズキュン＝千堂の黒歴史と更生をほのめかす［悪行の詳細は不明］）
↓
現在のエピソードに戻り、失恋の傷を癒すために疑似恋人にならないかと千堂が奏真に提案し、少し前から千堂を意識し始めていた奏真がそれに合意。
序盤は奏真視点だけで微妙に噛み合わない二人のやりとりが続くので余計にチグハグ感が強まってしまったのかも。5話あたりから千堂視点も加わり、分かりにくかった千堂の気持ちが掘り下げられていくことで、ようやく話についていけるようになりました。
とはいえ不思議君・千堂の独り相撲＆迷走具合に終盤までモヤモヤ。周囲の助けと奏真の頑張り＆健気さに救われる展開になっています。
アイドルものにしてはわりと地味な世界観なので、その点でも好みが分かれそう。スパイス要員として奏真の熱烈ファンが少し騒ぐくらいで熱愛発覚のスキャンダルなどは発生せず、千堂と奏真が心を通わせるまでのやりとり（すれ違いを含む紆余曲折）を中心に描いた作品になっています。
前作はカリスマアイドル・頼のキラキラ感と三倉さんの色気＆ギャップが神がかっており、キャラ立ちの面でもストーリーにおいても引きの強さがありましたが、スピンオフは色んな意味であっさり風味。
アイドルだけど中身は悩める普通の若者という、芸能界を舞台につつもキラキラをそぎ落としてどこにでもいそうな親近感がある若者同士の恋愛模様を描きたかったのかなという印象を受けました。
そういう作者の意図・狙いみたいなものはなんとなく伝わってきたのですが、今回は受も攻もキャラが弱かったせいか、何かこう締まらない感じがしてしまって...。アイドルとしての試練も恋愛模様もエロスも控えめだったので少し物足りなさが残りました。
それと前作では描かれなかったD.BUGメンバーとの絆やグループ活動がスピンオフで掘り下げられていくといいなと期待していたのですが、残念ながらそれも実現しませんでした。
頼と三倉さんがちょこちょこ出てくるくらい。他のメンバーとのやりとりがほとんどなかったので、メンバーそれぞれがソロ活動に専念している実質上活動停止中のアイドルグループであるかのように映ってしまったのが残念。
今回のスピンオフで個人的に一番テンションが上がったシーンは奏真と前作CPとの絡み。百合ってる頼と奏真を見つめる三倉さんの優しい眼差しにズキュン😽
他グループメンバーとのコラボ企画ばかりでなく、もっとD.BUGメンバーとの絆も描いてほしかったです。掲載誌でシリーズ続編の連載が始まったので続きに期待！
