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2024年7月27日土曜日

『百日の薔薇 Maiden Rose Ⅲ』ネタバレ感想【稲荷家房之介】


百日の薔薇 Maiden Rose 3
2022年9月1日/大洋図書

総司令部からの指令を無視しエウロテより侵入した列車を迎撃したタキだったが、 不浄の土地から生還したクラウスと招かれざる客を巡って厳しい立場に置かれる。 そんな折、タキの体に無数に残る傷の中に凌辱の跡をみつけたクラウスは、 自分が意識を失っていた間の出来事を問おうとするが……。 

単行本の構成
・表題作第12話~17話
・イラスト入りあとがき1P
・番外編「Lupus et Flores-狼と花-」18P
・番外編「百日の薔薇 肉球編 クラウスのにゃんこ観察日記」4P

第3巻は廃刊になったアクアで連載されていた本編の続きとihr HertZに加筆修正されて掲載された分、雑誌や同人誌に掲載されたケモ耳番外編の一部が収録されています。

物語の主な舞台はクラウスの出身国の西方連合軍と、先の大戦で西方連合軍に包囲されて独立が危うくなったことから隣国の大国・エウロテと同盟を結ばざるを得なくなったタキの祖国「極東の国」の第十五師団。

タキがルッケンヴァルデ機甲学校に留学する少し前に西方連合とタキの祖国は国交が回復したものの、未だ遺恨が残っている状況。

時間軸は行ったり来たり。ルッケンヴァルデ機甲学校編とクラウスがタキの騎士となって極東の国に赴いてからの出来事がシャッフル形式で描かれています。

エウロテとの百年条約により、二つの国の境界にあるレイゼン家始祖の眠る霊地は中間地点と名付けられ、誰も統治できない凍結地帯にされて十数年~数十年経過した頃にエウロテの列車が突如中間地帯に侵入。

強引にレイゼン領に侵入し、亡命を希望するエウロテ公妃たちを監視下におく第十五師団司令部。同じ頃、 西方連合軍の最高総司令部では消息を絶ったエウロテ現摂政や閣僚6名がエウロテ公妃とともに同盟国の第十五師団司令部に拘束されているという情報の信ぴょう性について議論が交わされ・・・。

続くエピソードはエウロテの列車が中間地帯に侵入した「事変」の十日後の第十五師団の様子。旧バージョンでは難しい決断を迫られるタキにクラウスが神聖な刀を手渡しながら迷うなと笑顔で鼓舞。「あの日、二人で決めただろ。俺たちは共にあると。お前の刃であることが、俺のたった一つの誇りだ」とかっこいいセリフを決め、それを受けてタキが抜刀し、前線に向かうシーンが描かれますが、新バージョンでは真逆の展開に。

タキが刀をクラウスに預けようとするとハセベ侍従長がそれを阻止し、刀に触れさせてはいけないと進言。その刀はタキの元服のために作られた特別なものであり、穢れた地に足を踏み入れた人間が触れていいものではないと。 クラウスの回想という形で、西方連合の情報部が調べたタキの身分が明らかに。

神代から続くレイゼン家の子息でレイゼン領の領主。今上天皇の甥。母は二品(公爵)の親王。女系のため皇位継承権第二位の左近衛大将で第十五師団「ローゼン・メイデン」師団長。

刀の場面に戻り、ハセベ侍従長にタキが反論するものの、国のしきたりが絡んでいるので歯切れが悪く、クラウスは自嘲気味にしばらく休むと去っていき・・・。

クラブハウスのシャワールームに向かうタキ。クラウスがやってきて荒々しくタキを抱きしめ・・・。

はだけたシャツからタキの傷だらけの上半身が露わに。嫌がるタキの手をネクタイで拘束し、下半身をひん剥き、荒々しく後ろの穴を弄り回すクラウス。体のあちこちに内出血や傷痕があるのに気づいたクラウスが、自分がそばにいたときはなかったものだと怒りを露わにし・・・。

睡眠薬を口移しで飲まされたタキが気を失い、タキを医務室に運ぶクラウス。そこにスグリ侍医がやってきて驚愕の表情。なんて野蛮なことをするのかと怒りをあらわにするスグリ侍医に対し、約束を守らなかったのはあんたの方だと逆切れして壁を殴りつけるクラウス。

話は少し前にさかのぼり、医務室でのクラウスとスグリ軍医の会話の場面へ。タキを医務室に運んできたときのやりとりではなく、それ以前のやりとり。クラウスの右肩のケガが悪化し、スグリ侍医がこのままだと右腕が動かなくなると宣告。

化膿止めや痛み止めで誤魔化していたクラウスだけど、薬のせいで意識障害を起こしていたことが判明。譫妄状態のときに自分がタキに何をしでかすか不安で仕方ないと訴え、看病したがるタキを自分から遠ざけるようにスグリ侍医に頼むが・・・。

うーん、場面転換が多いので分かりにくいけど、これ、ひょっとしてクラウスのキャラ変に関することなのかな。いつも唐突に野獣化してタキに無理矢理迫っていたのは薬による影響だったということなのかな。本来は野獣のクラウスではなかったという?!言われてみれば、ルッケンヴァルデ時代はもっと穏やかな性格だったんですよね。

そこからまた過去に飛び、ルッケンヴァルデ機甲学校編に。廃刊になったアクアで連載されていたものや同人誌を加筆修正したもの。

クラウスとタキの初対面からルームメイトとして交流を深めていく様子が描かれています。

番外編の「Lupus et Flores-狼と花-」は留学を終えたタキが自分の騎士となったクラウスを連れて帰国したときのエピソード。タキの幼い妹たちや伯父の今上天皇などタキの家族が登場。天真爛漫な妹たちとのほっこりしたやりとりとは対照的に大人たちの会話は深刻な内容...。西方連合とタキの祖国の関係が再び悪化し、敵国同士になったみたいですね。

 なかなか明るい未来が見えてこないなぁ。

巻末にケモ耳パロディの肉球編収録。


百日の薔薇 Maiden Rose Ⅰ


百日の薔薇 Maiden Rose Ⅱ


百日の薔薇 Maiden Rose Ⅲ


百日の薔薇 Maiden Rose Ⅳ


掲載誌:ihr HertZ


百日の薔薇 第一話「我が騎士」 (初回限定生産)


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