
2022/09/15/ 心交社
NYの弁護士・トレヴァーと元アーミッシュの大学生・ジーンが同居して2年。ジーンはカナダの大学教授が自身のエッセイに興味を持ってくれたことを知る。優しく頼りになる恋人との愛に溢れた暮らしに不満はなかった。
でも、もっと広い世界を見たい、カナダで学びたいという気持ちは日ごとに募っていき ――
単行本の構成
・表題作全第6話~11話
・描き下ろしイラスト1P
・イラスト入りあとがき1P
・電子限定おまけ漫画2P
・完結記念小冊子収録番外編16P
・描き下ろしイラスト1P
・イラスト入りあとがき1P
・電子限定おまけ漫画2P
・完結記念小冊子収録番外編16P
2巻も芸術性抜群。まるで上質な映画を観ているような読み心地で、一つの人間ドラマとして興味深く拝読しましたが、1巻に比べるとBL的なドキドキ感や萌え要素が期待していたほどではなかったので、少し物足りなさが残りました。
1巻の空気感、そこはかとなく醸し出されるミステリアスでせつない雰囲気が好きだったので、多くの謎が解け、二人が別れた理由が分かるとジーンが途端に薄情に見えてしまったこともあり、理想と現実との落差にがっかりする自分がいて・・・。
1巻ではトレヴァーの甥が書斎で古びた日記を見つけて読み進める形を取りながら、弁護士のトレヴァーがアーミッシュの若者・ジーンと出会い、恋に落ちるまでのお話がドラマチックに描かれていましたが、完結巻となる2巻ではトレヴァーが2年間同棲していたジーンと別れることになった経緯と16年後のお話が時間軸を交差させながら描かれています。
年の離れた若いジーンの将来を慮って身を引いた(カナダに送り出した)トレヴァーと、自分探しのためにトレヴァーのもとを去ったジーン。会おうと思えば会える状況だったものの、ニューヨークを去った後、一度もトレヴァーに連絡しなかったジーン。
空白の16年間とその後のお話はトレヴァーと甥視点で進むので、読者にとってジーンが遠い存在に。2巻はジーン側の心情描写とエピソードがすっぽり抜けていて、ジーンがトレヴァーと再会するまでの空白の16年間をどんな風に過ごしてきたのか、何よりトレヴァーに対する想いをほとんど読み取ることができませんでした。
再会後のジーンはなんだか見た目も中身も別人みたいに見えて、親しみが湧きにくかったのが残念。
単行本に描き下ろしがなかったので特典小冊子に期待したのですが、こちらにも甘い後日談は収録されていませんでした。やはり16年の空白は3カ月経っても埋めがたいようで。
トレヴァーの甥の計らいで偶然二人が再会するまでトレヴァーとの復縁を全く考えていなかったジーン。お互いに納得して既に終わった関係だと思っていたというジーンの発言からすると、彼にとってトレヴァーとの関係はとっくに過去のものになっていたようですね。ジーンをずっと忘れらなかったトレヴァーとの温度差が...😣
ジーンにとってトレヴァーは昔愛した人で恩人で尊敬しているけど、恋愛的には既に過去の人になってしまっていたのかなと。再会後のジーンのよそよそしい態度は、単純に照れているというよりも、久しぶりの再会にも関わらず、気持ちがさほど盛り上がらず、どう接したらいいのか迷っているように見えました。
三ヵ月経ってもトレヴァーとの関係をどうすべきか分からず、頭で色々と考えても結論が出ないなんて、それってもう恋とは言えないのでは?
ジーンがそんな感じなので、再会後の二人はキスも交わさないプラトニックな同居人に。トレヴァーから自分への変わらぬ想いを受け取りながらも、二人の関係を何か月も曖昧しているジーンに何とも言えない気持ちになりました。
描き下ろし
・電子限定おまけ漫画2P
トレヴァー視点で描いた本編直後のエピソード。ニューヨークで働くことになったジーンが16年ぶりにトレヴァーの家に帰って来る日の出来事。紳士然とした佇まいながら、内心では舞い上がっているのが伝わって来るトレヴァーが愛おしい😊
・完結記念小冊子収録番外編16P
再会から3ヶ月後の二人の様子。トレヴァーの甥や昔の恋人兼友人のカレン(熟女)も登場。

無料試聴できます:ダウンロード販売

商業BLコミックス『ラムスプリンガの情景』『親愛なるジーンへ(全2巻)』アーミッシュシリーズの特典再録集。描きおろしカバーイラストを含むカラーイラスト集の他、過去特典ペーパーや寄稿漫画等を多数収録。描きおろしはセルフ学パロ漫画『聖★嗚呼美酒学園』
