BL漫画holic（別館・サブブログ）: 『后宮のオメガ』上下巻ネタバレ感想【露久ふみ】

2025年4月6日日曜日

『后宮のオメガ』上下巻ネタバレ感想【露久ふみ】

后宮のオメガ（上）【電子限定おまけ付き】
2023/11/01/新書館

オメガとして生まれ諦めながら生きてきた小国の第十三王子・イリヤ。同盟国の王子・ハーリドと政略結婚させられることが決まり後宮入りした日、不思議な少年と出会う。その彼は実は……!?　絢爛艶美な後宮オメガバース、上下巻同時発売！

単行本の構成

上巻：
・第1話～6話
・描き下ろし番外編「止まった時計」1P
・イラスト入りあとがき1P
・カバー下おまけキャラ紹介「ロメリダール王家家系図」1P
・カバー下おまけ舞台設定（世界地図）1P
・電子限定おまけ漫画1P

下巻：
・第7話～12話
・描き下ろし後日談「手がかかる子ほど可愛い」10P
・イラスト入りあとがき1P
・カバー下おまけキャラ紹介「ハヌ王家家系図」1P
・カバー下おまけイラスト1P
・電子限定おまけ漫画1P

美麗な絵で綴られるエキゾチックなオメガバースBL。

オメガ差別が激しい西洋風王国で13番目の末席王子として生まれた金髪碧眼の美しいオメガの青年と、東アジアとアラブ習俗が混じった王国で国民から現人神として崇められる幼王との政略結婚から始まるお話。

キャラも世界観も魅力的で冒頭からぐいぐい引き込まれました✨

主人公のイリヤが生まれ育った国ではオメガは生まれた瞬間から自由を奪われ、性奴隷のような扱いを受ける中、王族として生まれたイリヤは奴隷になることは免れたものの王家から存在しないものとして扱われているという設定。そんな状況の中でオメガを神の使いとして尊ぶハヌ国との政略結婚が急遽持ち上がり、見知らぬ南の国に嫁ぐことになって・・・という展開。

愛を知らずに育ったせいですっかり諦観が染みついたアンニュイでひねくれた青年に成長したイリヤ。それでも言動の端々に他人への思いやりや芯の強さが感じられるところが魅力的なキャラ。

結婚相手のハーリド王は上巻ではまだ10歳前後のあどけない幼王ながら、思慮深い雰囲気を漂わす寡黙な褐色少年。

ハヌ国では成人になる18歳まで男女の関係になるのはご法度ということで、プラトニックな関係のまま少しずつ心を通わせていく二人。年上のイリヤが純朴硬派なハーリドをからかったり、反対にハーリドの心のこもったおもてなしに心動かされたりしながら、いつしか二人は自分たちのことや国の未来について真剣に語り合う仲に。

前半のすれ違いを乗り越えて絆を深めた二人の仲睦まじさにほっこりしていたら、ハーリド王の兄の登場で悲劇が。

ここから先の展開はネタバレ回避のためにこれ以上の言及は控えますが、後世に受け継がれる名君と賢い后というコンセプトのドラマチックなラブストーリーになっています。欲を言えば大団円の部分をもう少しじっくり読みたかったなと思いましたが、メインキャラが魅力的なのが何より強みでストーリーも綺麗にまとまっていたので楽しく読めました。

🍏描き下ろし

・上巻番外編「止まった時計」1P
肌身離さず懐に入れて持ち歩いているイリヤが作った時計にキスするハーリド💓

・上巻電子限定おまけ漫画1P
ちびハーリドとイリヤのほっこりする会話。

・下巻後日談「手がかかる子ほど可愛い」10P
働きすぎるハーリドを休ませるために妖艶にエッチのお誘いをする年上美人受のイリヤ→ラブシーン4.5P💓

・下巻電子限定おまけ漫画1P
イリヤの瞳の美しさに感嘆し、本人に感じたままに率直に告げるハーリド。イリヤもハーリドの瞳が美しいと感じたようで・・・。臣下の前で自覚なくイチャつく二人😊