当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

2021年7月11日日曜日

小木カンヌ『触れたとこからキモチいい』ネタバレ感想


触れたとこからキモチいい【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
2018/10/30/竹書房

サラリーマンの沖谷は、頼れる同僚・先輩として社内でも人気が高い。それには理由があり、実は沖谷は他人の喜怒哀楽オーラを感じ取ることができるため、良好な人間関係を築けている。無表情で朴訥とした後輩・古賀の感情も、オーラが見える沖谷には良く分かる。朴訥として一途な後輩ワンコ×恋愛に深入りしない美人系先輩の心安らぐ大人のピュアストーリー。満たされ度120%

単行本の構成
・表題作全5話
・描き下ろし後日談8P
・カバー下イラスト2P
・電子限定おまけ漫画1P

デビューコミックス。

オフィスラブ+特殊能力設定。

コミュ障で堅物な後輩×人の喜怒哀楽がオーラとして見える特異体質の先輩のお話。

 人の感情をオーラとして読み取ることができる特殊能力を駆使して打算的に世渡りしてきたリーマンが、自分に好意を寄せる嘘がつけない後輩に惹かれていくという展開。

それまでは社内恋愛はしない主義だったのに、攻の放出する好き好きオーラを浴びるのが心地良くて、ついついちょっかいを出しているうちに攻自身にも惹かれていき・・・。

話の展開・大筋は面白かったのですが、世界観がふわっとしていて​それほど作り込まれているわけではないので、いまひとつ説得力が足りない印象を受けました。キャラが大味というか、BLになる部分の描写が弱かったので少々萌え不足。

それでも攻のキャラは好印象。最初はデリカシーがなくて空気が読めない痛い男にしか見えなかったのですが、だんだんと朴訥で誠実な人柄であることが受とのやりとりを通して伝わってくる描かれ方になっていたのが良かったです。

それに比べると受のキャラがだいぶ見劣りしたかも。ゲイでもないのに攻にちょっかいを出して優越感に浸っている受。最初からずっと特殊能力に頼っているので攻のどこに惹かれたのかが伝わりにくかったです。

おそらく物語の力点は別のところに置かれていたのかなと。特殊能力に頼りすぎた歪みとそこからの解放=人間的目覚め。ただ、そのテーマでも描写不足感が拭えず。社内で人気者の受自身も攻に負けず劣らずのコミュ障だったというのが分かっただけだったような。受にももう少し欠点を補うチャームポイントがほしかったなぁ。

とはいえ、物語の構成も画力も秀でている新人作家さん。作風自体には惹かれるものがあったので次回作が楽しみです。


触れたとこからキモチいい


触れたとこからキモチいい 単話版


【無料】moment vol.15/2018 autumn