BL漫画holic（別館・サブブログ）: 『夜明けの唄』第5巻ネタバレ感想【ユノイチカ】

2024年7月29日月曜日

『夜明けの唄』第5巻ネタバレ感想【ユノイチカ】

夜明けの唄【単行本版】5（特典付き）
2024年4月5日/シュークリーム

珠玉のボーイズ・ロマンス巨編累計85万部突破！黒海に乗っ取られた領主の妻・ニナから衝撃の出自を知らされたアルト。エルヴァへの愛情に偽りはないと自らに言い聞かせるものの、真実を告げることは出来ずにいた。ときを同じくして、島で貴族を狙った襲撃事件が発生。警護に呼び出されたエルヴァがそこで目にしたのは、８年前に死んだはずの覡であり、兄のように慕っていたミカイルの面影であった――。

単行本の構成

・表題作第20話～24話
・描き下ろし番外編12P

エルヴァの親友で死亡したと思われていた先々代の東の覡・ミカエルが全身真っ黒な状態でまだ生きていることと、領主の妻・ニナが人の身体を乗っ取った黒海で、仲間たちを上陸させようとしていることが判明した4巻。

そのリナに私たちの王子様と特別扱いされるアルト。アルトとヒルダ（リナと領主の子供）は人となった黒海から生まれた待望の子供たちなのだとアルトに告げるリナ。

ということは、アルトの父親も黒海で人の身体を乗っ取り、人間の女性との間にアルトが生まれたということなんですかね。敵である覡を倒す使命を思い出せとニナとその仲間たちから言われたアルトは・・・。

同じ頃、この島を守るためではなく、ただ利用するために闘わされ、使い捨ての駒にされてきたことを知ったエルヴァは・・・。

黒海を介した未来予知を領主を通して外の人間から強要されてきた覡たち。そうして現当主のシヨンの祖父であるアルバートの時代から覡の神秘の力を他国との取引の材料として利用してきた領主たち。今は状況が変わったようでビジョンを見るなとシヨンから言われていると話すエルヴァ。

うーん、恐れていた方向に進行中。いや、予想以上の混迷具合。

アルトとエルヴァだけの問題ではなく、島中がパニックになる事態に。

エルヴァたち覡の状況も地獄だけど、自分が黒海から生まれたと知らされたアルトの衝撃たるや...。

そんな中、瀕死（仮死？）状態の先々代の東の覡・ミカエルが目を覚まして逃亡する騒動が発生。その直後に貴族だけを狙った連続殺人事件が発生。目撃証言によって覡の犯行と断定され、領主の指示でエルヴァたち覡が連行され・・・。

エルヴァを貴族の館の警護につかせるシヨン。その理由は覡と対峙できる力を持つのは覡だけだから。

このシヨンも不気味な存在。妻の正体を知りながら結婚したということなら、黒海と手を組んでいるのか、あるいは黒海に操られているのか。連続殺害事件が発生しても飄々とした態度...。

エルヴァが警護していた貴族の館の近くに覡が現れ、貴族を襲撃。駆けつけたエルヴァが応戦すると殺人鬼と化した覡は逃走。犯人が友人のミカエルに似ていることに動揺するエルヴァ。8年前にコノエからミカエルは死んだと告げられたのだから、ミカエルのはずがないと打ち消すエルヴァだけど、そのミカエルが自らエルヴァに会いに来て・・・。

あどけない少年姿のミカエルは黒海に体を乗っ取られていたこと（※後述）が判明。神秘の力を持つ覡が黒海に体を乗っ取られるという前例がない事態が発生し、犠牲者は既に30人。エルヴァにミカエルを討ち取らせるように指示を出すシヨン。

同じ頃、一連の事件でパニックを起こした村人たちがエルヴァたち覡たちを討ち取るために武器を持って小屋の前に集結して・・・。

ミカエルは既に逃走。小屋にはエルヴァとアルトの他にエルヴァ不在中に派遣されてきた双子の覡の一人・ダナがいて、村人たちをダナが一人で蹴散らかして一喝。恐れをなして退散する村人たち。

黒海に体を乗っ取られたミカエルを始末するように教会から命じられるエルヴァ。実際は覡の防御力でミカエルの魂はまだ残っており、この8年間黒海とずっと格闘し続けてきたことが判明。今でも完全に乗っ取られておらず、体を共有している状態だと気づいたアルトは・・・。

ここから長い過去編へ。覡たちが教会や権力のある男たちからいかに搾取され、虐待されてきたかを克明に描いていく過去編。子供への暴力、虐待、残虐なレイプシーンがあるので苦手な人は要注意。

覡たちの悲惨な過去、虐待描写はもうこれ以上見たくないなぁと鬱々とした気持ちで読み進めました。幼い覡たちの絶望、ミカエルの壮絶な過去編からエルヴァのこれまた地獄のような過去編へ。

目を背けたくなるような覡たちの辛い過去を立て続けに3話分...。正直ここまで残虐な描写を克明に描く必要があったのかなと感じました。覡たちが男たちの支配欲、征服欲を煽る存在だったという言及だけでも何が行われていたのかは十分察することができますし、単行本の構成から見ても後半に覡の過去編3エピソードは多すぎる印象😔

そのことをよりも現在直面している件、父親が黒海だったという衝撃の事実を知ったアルトとエルヴァのやりとりをもっと掘り下げてほしかったなぁ。

アルトの件もミカエルとエルヴァの件も次巻に持ち越し。

描き下ろしはアルトとエルヴァのほっこりしたやりとり。村人たちが川遊びをしているのを遠くから羨ましそうに眺めるエルヴァ。誰もいない場所にエルヴァを連れて行き、水浴びに誘うアルト。下着姿になって楽しそうに泳ぐ二人。