
そんな顔してもキスはだめ
2021/06/22/フロンティアワークス
大学生のオタク・田中は、ハイスペックな同級生・鈴木に突然ファーストキスを奪われ、告白される。密かに憧れていた鈴木から迫られ、パニックになった田中は、彼をフってしまう。しかしその後もキスをされ、そのたびにドキドキがとまらず混乱する田中。そんな風になるのが嫌で鈴木から逃げようとするが、「キスしないから付き合って」と言われてしまい!?
単行本の構成
・表題作全5話
・描き下ろし番外編8P
・カバー下おまけ
・描き下ろし番外編8P
・カバー下おまけ
皆が憧れる完璧イケメンなのに周囲の反応が重荷になって他人と深く関わるのを避けてきた攻が、周りに流されずに自分らしく生きる受に惹かれていくお話。
キラキラしたイケメンとウブなオタクメガネ君がバイト先(アニメグッズ専門店)でほっこりする交流を重ねながら、少しずつ打ち解け合っていくキュートなラブコメ。
大学の講義室で体調が悪くなって嘔吐した女子学生に心無い発言をしたり、不快そうな顔をする攻の友人たちとは対照的に、さっと駆け寄ってハンカチを差し出す受に感動する攻。
その日以来、受と親しくなりたくて積極的にアプローチする攻と、キラキライケメンに好意を向けられてアタフタする受の構図が王道の楽しさ。
可愛らしいカップリングで好みの作風でしたが、惜しむらくは恋になる過程の描写が少し弱かったこと。
攻が講義室の一件で受の人間性に惹かれたところからいきなり話が飛んで受にキスしたくなるほど恋心を募らせる描写になっていたので唐突な印象を受けました。ノンケ同士で、攻は今まで他人に全く興味を持てなかった複雑な人物設定なので、そこはもう少しじっくり交流を深めてからアプローチを開始した方が自然だった気がします。
もう一つ気になったのは周辺人物の描かれ方。好感度が高いメインキャラに比べてモブたちの言動があまりにも落差が大きかったので、2人のことを持ちあげるために露骨に周囲の人物を下げている感じがしました。
嘔吐した女子学生に心無い発言をしたり、オタク受をいじめる(差別発言をする)攻の友人たち。攻が通りかかると周囲の女子たちはもれなく目がハートに。ヨダレを垂らしたり、学食の窓に張り付いて攻を凝視したり・・・。
わざわざそんな描写を入れなくても攻の魅力は二人のやりとりから伝わってくるのになぁ。
例外的にバイト先の受のオタク仲間の吉田君が良い味出していたので、3人のやりとりが楽しかったです。



その後を描いた、いちゃいちゃショートストーリー。